木登りの誘惑
時々無性に木に登りたくなります。
ちょうど2年位前の春ごろ大学を移って
巨木の多いキャンパスに通うようになると
毎日木のエネルギーを感じ、浴びながら
木に登りたくてうずうずしていました。
しかし、大学のキャンパスで
さすがに一人では恥ずかしくて登れません。
その頃、私は本気で木登りサークルを立ち上げて
仲間を募ろうかと毎日考えていました。
原風景というと大げさかもしれませんが
近所の公園のメタセコイアの木で遊んだことが
昨日のことのように思いだせます。
杉のような木肌の少しけばだった手触りや
太い枝にまたがって木をゆすった時の鈍い振動や
簡単にぽろぽろととれてしまう細くて
小さい葉っぱを手でむしる時の感じや
その間から見えた風景や、そんなもろもろを
もう20年近くたった今でもリアルに思い出すのです。
20年ですって。そんなに生きてきたのか。私。
子どもは木に登ります。
大人は木に登りません。
大人が木に登るには理由がいります。
めずらしい虫がいたんで、つい年甲斐もなく、とか、
息子の凧がひっかかってしまって、いやはや、とか
そういう人が納得するようなありきたりな言い訳がいります。
そもそも言い訳なんてありきたりなものですね。
子どもが木に登るのに理由はいりません。
登りたいから登る、そういう自由な感じがとても好きです。
木に登りたい大人はどうすればいいのでしょう。
理由を説明しなければならない相手が
多い昼間はまず避けなければなりません。
そうでなければ変人扱いされ、運が悪ければ通報されてしまうかもしれません。
では、夜は。
夜ならば人も少ないし、暗いので心おきなく木登りを満喫できるかもしれません。
しかしその際は絶対に人に気づかれないようにしなければなりません。
そうでなければ、確実に狂人扱いされ、間違いなく通報されてしまうでしょう。
大人って不自由ですね。